ワールドカップの開幕戦に先立って、10月23日,アルペンフォーラムが開催された。
これは毎年開幕戦の前日に、FIS役員、メディア、ワーキンググループ、各国チーム監督らが集まって行なわれるもので、今年で6回目。今年から国際スキー連盟会長に、前FIS事務局長のジャン・フランコ・キャスパー(スイス)氏が就任し、同氏の基調演説で会は始まった。会長が替わると組織も変わるのは常識というものだが、FISに関する限りは激動的な変化はないようだ。
同氏の演説ならびに質疑応答の中からいくつか報告しよう。尚、新事務局長にはFISの歴史では初めての女性が起用された。サラ・ルイス嬢で、かつてイギリスチームの選手であり、引退後はイギリスチームのコーチをつとめ、またFISコンチネンタルカップのディレクターを務めていた。才気活発、なかなかの美人である。 |
1、21世紀に向けての方針はモダン化。それは大改革という意味ではなくスキースポーツが一般大衆ととも発展していくことを願うという意味での現代化である。興味と楽しさををもって発展して行くにはニュースバリューがある新しいアイデアが必要である。参加する各チームの認識はもとよりメディアの協力を期待する。
その試みの一つとして、来期(1999/2000)の最終戦はイタリアのボルミオで行なわれる。来期はオリンピックも世界選手権もない谷間のシーズンで、FIS関連のすべてのワールドカップ(アルペン、ジャンプ、複合、クロスカントリー、フリースタイル、スノーボード)の最終戦を北イタリアのボルミオを中心に行なうというもので、総合開会式はミラノのスカラ座で行なう。また表彰式はバチカン宮殿で行ないローマ法王がメダル授与者になるというもの。最終戦には各種目で一定のポイントをクリアしていなければ出場することができず、オリンピックをもしのぐレベルの高い一大イベントとなる。ワールドカップをオリンピック以上のレベルにまで押し上げようとする試みである。また2004年にソルトレーク・シティで予定されている最終戦においても同様の規模と方法で行なわれるであろう。又来期の暫定的なスケジュールも発表になったが、日本と韓国(ヨン・ピョン)で男子の技術系(回転、大回転)が予定されている。
2、カレンダー
FISワールドカップは全体で313競技が行なわれるがそのうち70がアルペンレース。カレンダーの構成に当たっては会場への移動とストレスを考慮し、男女全種目が可能な箇所においてのレースを組み、各国チームが合同でトレーニング出来、また多くの選手が全種目参加を可能にし、真の総合チャンピオンに挑戦できるように作成した。2、ドーピング問題について。
これはスイスのヘッドコーチ、テオ・ナディックがスイス「シュポルト」紙のインタビューで、「オーストリアチームの有名選手が赤血球増強剤の投与を受けているのではないか」という発言をしたことについての質問が出された。オーストリアチームは言下に否定し、またキャスパー氏も「スキーでは考えられない」と否定した。ツール・ド・フランスのスイス人3選手がこの件で摘発され投獄されたことでにわかに問題が浮上したドーピングだが、スキーの場合、通常トレーニングもレースも高地で行なわれることが多く、自然に赤血球が増加するから、ことさら投与を受ける必要はない、というのがその根拠である。マラソンなど持久力の要求される競技で、選手が高地トレーニングを行なうのはその理由による。だがこのドーピング問題は非常に複雑な要素が含まれており、赤血球増強剤はドーピング問題の視点をカモフラージュしているにすぎないという意見もあり、痛い腹を隠しているだけだという専門家の意見もある。
発火点のテオ・ナディックは「特定の個人やチームを名指しで非難したわけではない。ドーピングについてより深く理解しなければならないということを言いたかっただけである」と抗弁し、オーストリアチームの広報担当、ハンス・プムは「スイスチームの妬みだ。かつてスイスが猛威を振るっていたとき、我々はなにも言わずじっと耐えていた。今更なにを言っているのだ」と嘲笑し、名指しで非難されたヘルマン・マイヤーは「ドーピング検査、望むところだ。私は長野の前に2度、2個の金メダルを獲った後に2度、検査を強制的に受けた。すべて白だった。私は投与を受けたことも、自分で使用したことも神掛けて絶対にない」と憤懣げに述べた。
3、賞金額がアップし、10位まで賞金が出るようになった(コンビは6位まで)。1レースあたりの賞金総額は最低100,000スイスフラン(約1,000万円)。配分方法はまちまちだが1位が総額の33%から50%、10位で約10万円というのが相場である。1シーズンの賞金総額は男子が約3億7900万円、女子が約3億7200万円。トータルで約7億5000万円の賞金が用意される。
4、レッドラインの規約変更。昨シーズン、バルディゼールにおいてヘルマン・マイヤーが、レッドラインの内側でスキーを脱ぎそれを掲げたことで失格になった。勝利したにもかかわらず、コマーシャル規定違反で失格になるのはスポーツとして良好な判断ではないとの見解から、今後は失格にせず賞金を与えないなどの罰則処置をとることに規約を変更した。
5、AIJS(国際スキージャーナリスト協会)会員の投票による「Skier
d'or」(1997/98ベストスキーヤー)は全員一致でヘルマン・マイヤーに決定。
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