TORINO 2006
2006 OLYMPIC WINTER GAMES
Alpine Skiing
Men's Giant Slalom, Sestriere, 20,Feb,2006
男子大回転、セストリエール、2006年2月20日
ベンジャミン・ライヒ(AUT)初の金メダル、オーストリア男子今大会初の金

1st / Benjamin Raich(AUT)
3rd / Hermann maier(AUT)

 大会11日目、スピード系を終了しいよいよ技術系の開始である。2月20日、好天のもと、セストリエールで男子大回転が行なわれた。スタート直後に急斜面、廊下の緩斜面、そしてまた急斜面、そしてゴール前の緩斜面。変化に富んだ過激なコースである。1本目はカナダチームのデュサン・グラシッチのセット、52ゲート。2本目はアメリカのミッシェル・モリンのセット、54ゲート。どちらもスピードとテクニックの要求されるセットである(当たり前と言えば当たり前だが)。82人がエントリーし、41人がゴール出来なかった。

 優勝したのはオーストリアのベンジャミン・ライヒ(27歳)。1本目の5位から2本目はベストタイムをマークしての逆転優勝である。ようやくというか待ちに待ったオリンピックの金メダル、オーストリアチームにとっても今大会アルペン男子では初の金メダルである。

 今季ライヒはワールドカップでは総合と大回転で暫定トップを走っているが、トリノではコンビで回転1回目が終わった時点でトップに立っていたが2回目で痛恨のコースアウト、スーパーGは21位と下位に低迷していた。何処で立ち直れるかが注目されていた。だがその心配も希有に終わった。この勢いはスラロームまで続くだろう

2nd / Joel Chenal(FRA) Finish Line
 2位にフランスのベテラン、ジョエル・シェナル(32歳)。1本目2位に付け、2本目はライヒに次ぐ2位のタイムでオリンピック初のメダルを獲得した。フランスチームは滑降のデネリアの金に続く快挙である。ワールドカップでは1999年12月、アルタ・バディア(ITA)での1勝のみで、今季はアーデルボーデンの8位が最高位、どちらかというと「まだいたの(失礼)」といった感じなのだが、やはりオリンピックは分からない。フランスチームも分からない。

 3位に、“ハーミネーター”ヘルマン・マイヤー(33歳)。トリノではついに金メダルの獲得は出来なかったが、スーパーGで銀、大回転で銅と2個のメダルは十分に満足のいく成績だろう。

 1本目トップに立ったカナダの新鋭、フランソワ・ブーケ(21歳)だったが、2本目はプレッシャーからか1本目ほどの冴えが見られず4位に後退した。

 現役最年長のスウェーデンのベテラン、フレドリック・ニーベルグ(36歳)が5位入賞、アメリカの韋駄天、ボーディ・ミラー(28歳)はノルウェーの新鋭、アクセル・ルンド・スビンダル(23歳)とタイの6位入賞に終わった。

 日本チームからは吉岡大輔(アルビレックス新潟)と佐々木明(ガーラ湯沢)の二人が出場、吉岡が24位、佐々木は1本目上部でコースアウトした。

見谷昌禧のプロフェッショナルの視点・オリンピック篇
 快晴の元、最高の条件の中男子大回転が行なわれた。斜面は北斜面であり、人工降雪の雪でハードパックされたアイスバーン。この地がヨーロッパで最初にスノーメーキングマシンを導入した。スポンサーはトリノに本拠を置く自動車のフィアットである。

 1本目、旗門数52。コースプロフィールは、スタート直後は急斜面が続き、中半に緩斜面、後半は中斜面にウェーブを3カ所設けてのコース。旗門構成は1本目としては、平均的に旗門間の間隔が少なく、非常に難しいものであった。その関係で85選手がスタートして、コースアウトした選手が35人。コーアウトする選手があまりにも多すぎるとレース展開の興味は半減する。オリンピックはワールドカップとは違うので、1本目は少しでも多くの選手がゴール出来るようにセットすべきだ。2本目のセットを難しくして勝者を決めるべきだと思うのだが。セッターもオリンピックとなると緊張して、思いの外難しいセットになってしまうことがよく起こる現象でもある。

 1本目のベストタイムはビブ11番、カナダのフランソワ・ブーケ。21歳。今シーズン急成長の新鋭である。ソールデン(AUT)の開幕戦で49番スタートから5位、ビーバー・クリーク(USA)で60番スタートから6位。アルタ・バディア(ITA)で40番スタートから3位。早くも表彰台に上がってカナダのホープと称えられた。滑りはスムーズであった。もしかしてビブの早い選手達のコース状況で、エッジが雪面に食い込みすぎてスキーの走りを悪くしていたかも知れない。ビブ10番台になってから雪面がスムーズになり、スキーの走りが良くなったのかも知れない。だが今シーズンの実績から見てこのタイムはフロックではない。

 2番のタイムはビブ8、フランスのジョエル・シェナル。32歳の大ベテランだ。コース前半と後半の急斜面にウェーブが設けられた部分でのオフセットの大きな旗門がセットされた。この部分で入射角を正確にとってタイムを稼いだ。

 3番は二人。ヘルマン・マイヤー(AUT)とフレデリック・ニーベルク(SWE)のベテラン二人が並んだ。マイヤーはこの難しいセットをあまり無理せずに滑り抜いたように思える。一方ニーベルクはフルアタックの滑りに見えた。
 以後ベンジャミン・ライヒ(AUT)、アクセル・ルンド・スビンダル(NOR)と続いた。とにかく1、2位は誰もが予想し得なかった選手が来てレース展開を面白くした。

 2本目は旗門数53、オープンテレグラムの間隔も落差も大回転のコースに相応しいセットであった。各選手ゅがフルアタックしてきて、流石にオリンピックの大回転レースである激戦を見せてくれた。

 1位、ベンジャミン・ライヒ
 試合巧者のライヒは2本目にベストタイムを出して逆転。今シーズン大回転レースが好調のライヒが、各ターンでのキッカケを早めに付け、落下速度を利用しての滑りは圧巻であった。1本目では、ターンの内スキーに早く乗りすぎてスキーの走りを鈍らせていた。2本目はその動きを修正し、スキーの抜けが良くなり速いタイムを引き出した。

 2位、ジョエル・シェナル
 滑降競技のところでも書いたが、オリンピックになるとフランスチームは勢いが増すので不思議なチームだ。「マイヤーを従えての2位は、自分としても良くやった」と、インタビューで答えていた。運が味方したのであろう。

 3位、ヘルマン・マイヤー
 怪我で前回のソルトレークには出場出来なかった。長野オリンピックで金メダルを獲得し、このオリンピックでも金メダルを狙ってきたがライヒに及ばなかった。滑りにスムーズさはあったが、突っ込みに欠けていたように思えた。急斜面でのエッジの切り替えで、バネの利いたライヒの滑りに勝てなかった。

 4位、フランソワ・ブーケ
 2本目30番スタート。前にライヒ、マイヤーなどの選手がゴールして良いタイムを出していた。プレッシャーの中での滑りに1本目のようなシャープさが感じられなかった。次のカナダ・バンクーバー・オリンピックで雪辱を期して欲しい。

 5位、フレデリック・ニーベルク
 ベテランの実力を充分に発揮したレースであった。脚力に負荷の大きく作用するコースだけに、ゴール前で失速した。

 6位、アクセル・ルンド・スビンダルボーディ・ミラー
 オールラウンダーの二人が仲良く同じ位置。ミラーがこのオリンピックで何時目を覚ますのであろうか。スビンダルは善戦した。

 コースが難しく一瞬たりとも気の抜く場所がなく、大回転レースの激戦と面白さを十分に見せてくれたレース展開であった。一方、参加者の4分の1はワールドカップレースに参加出来ないクラスの選手であることの認識が、旗門をセットする者になかったのは残念なことである。

Rank Bib Name YoB Nat. 1st Run 2nd Run Total Time
 1  3 RAICH Benjamin  1978  AUT   1:16.95  1:18.05  2:35.00
 2  20 CHENAL Joel  1973  FRA   1:16.80  1:18.27  2:35.07
 3  2 MAIER Hermann  1972  AUT   1:16.83  1:18.33  2:35.16
 4  11 BOURQUE Francois  1984  CAN   1:16.61  1:19.31  2:35.92
 5  4 NYBERG Fredrik  1969  SWE   1:16.83  1:19.22  2:36.05
 6  9 SVINDAL Aksel Lund  1982  NOR   1:17.10  1:18.96  2:36.06
 6  7 MILLER Bode  1977  USA   1:17.58  1:18.48  2:36.06
 8  10 SCHOENFELDER Rainer  1977  AUT   1:17.49  1:19.15  2:36.64
 9  1 PALANDER Kalle  1977  FIN   1:18.22  1:18.60  2:36.82
 10  6 GRANDI Thomas  1972  CAN   1:17.23  1:19.65  2:36.88
 11  5 BLARDONE Massimiliano  1979  ITA   1:17.21  1:19.74  2:36.95
 12  38 VALENCIC Mitja  1978  SLO   1:18.10  1:19.29  2:37.39
 13  12 SCHLOPY Erik  1972  USA   1:18.34  1:19.22  2:37.56
 14  16 DEFAGO Didier  1977  SUI   1:18.03  1:19.57  2:37.60
 15  22 SCHIEPPATI Alberto  1981  ITA   1:18.21  1:19.62  2:37.83
 16  35 BANK Ondrej  1980  CZE   1:18.45  1:19.40  2:37.85
 17  28 BERTHOD Marc  1983  SUI   1:19.05  1:19.20  2:38.25
 18  21 KJUS Lasse  1971  NOR   1:18.73  1:20.58  2:39.31
 19  13 CUCHE Didier  1974  SUI   1:19.08  1:20.25  2:39.33
 20  30 SOLBAKKEN Bjarne  1977  NOR   1:19.15  1:20.46  2:39.61
 21  24 BURTIN Raphael  1977  FRA   1:20.70  1:20.29  2:40.99
 22  32 RAJALA Jukka  1982  FIN   1:20.17  1:21.23  2:41.40
 23  40 SIMARI BIRKNER Cristian Javier  1980  ARG   1:22.37  1:20.19  2:42.56
 24  42 YOSHIOKA Daisuke  1980  JPN   1:23.78  1:21.25  2:45.03
 25  57 ZRNCIC-DIM Natko  1986  CRO   1:22.57  1:23.02  2:45.59
 26  60 SKRIABIN Nikolay  1978  UKR   1:25.81  1:25.04  2:50.85
 27  65 HEATH Alexander  1978  RSA   1:25.61  1:25.81  2:51.42
 28  49 KIM Hyung Chul  1981  KOR   1:26.09  1:26.37  2:52.46
 29  63 ABRAMASHVILI Iason  1988  GEO   1:27.59  1:27.27  2:54.86
 30  69 HENTSCH Nikolai  1983  BRA   1:27.78  1:27.78  2:55.56

Official Result